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支持療法

4月14日(火)
 化学療法による副作用に対して行われる治療を一般に支持療法という。支持療法の発達によって感染症の予防や患者の様々な苦痛に対してかなりの部分対応できるようになって来ている。例えば今まで抗がん剤治療で一番辛いことは吐気だったが、カイトリルが出来たことによって一番は倦怠感になり、吐気は大きくその順位を下げた。

抗がん剤はがん細胞を殺すと同時に正常細胞にも多大なダメージを与える。骨髄抑制のみならず頭皮細胞(脱毛)や内臓粘膜の細胞を痛めつける。そのため口(口内炎)から始まり、胃(吐気)、腸(下痢、便秘)などに影響する。また腎臓、肝臓も薬の影響を受ける。そういったダメージを何処まで軽減させられるかが支持療法の大きな目的である。

しかし支持療法に使われる多種多様な薬の大量投与が体に与える影響も見逃すことが出来ないだろう。支持療法には次のような薬剤が使用されている。以下、移植の時に私が使用した薬を中心に支持療法の現状について列挙してみる。

白血球の減少 G-CSF製剤(グラン、ノイトロジン)
赤血球の減少 輸血
血小板の減少 輸血
口内炎 イソジンガーグル、ノズレン(うがい薬、粘膜修復薬)
悪心・嘔吐 プリンペラン(ドーパミン拮抗薬)、カイトリル(5-HT受容体拮抗薬)、アタラックスP(吐気止兼睡眠薬)
下痢 ロペミン、、ビオフェルミンR錠
便秘 酸化マグネシウム(マグミット)
帯状疱疹予防薬 ビクロックス250mgの点滴を日に3回
栄養剤 フルカリック1号(1食分のカロリー)、フルカりック2号(2食分のカロリー)
体調の回復 プレドニン、サクシゾン
睡眠導入剤 アタラックスP、マイスリー
感染症予防 マキシビーム、トブラシン、モダシン、メロペン、オゼックス(抗生剤)、ファンガード(防黴剤)、フルコナゾール(抗真菌剤)
解熱、抗菌作用 サクシゾン
腎機能の回復 ラシックス(利尿剤)、水分の多量補給と利尿剤の組み合わせ
血圧降下 生理食塩水、アミノフリード、ソルデム3A
胃の衰弱 アルロイドG液(胃の粘膜を保護し修復する)、オメプラール
偽膜性大腸炎 ヴァンコマイシン
痛み止め オキシコンチン、オキノーム、モルヒネ(オピオイド・医療用麻薬)、テグレトール(抗てんかん剤)、パキシル(抗うつ剤SSRI)、カロナール(解熱・鎮痛剤)
末梢神経障害 牛車腎気丸、ガバペン(抗てんかん剤)、パキシル、ノリトレン(抗うつ剤三環系)

G-CSFは自己抹消血幹細胞採取の時にも使用する。
サクシゾンは、抗がん剤としてエドポシドを使用した時、発熱したがサクシゾンの投与ですぐに熱が引いた程効果的だった。
痛み止めとして帯状疱疹神経痛に対して、カロナールを当初使っていたが効果なく、テグレトール使用した。しかしテグレトールを使用すると一日中ぼっとしている感じなので、薬を変えパシキルを使用することにした。大部屋にいた時の患者で口内炎がひどくモルヒネを使用した人がいたが、オピオイド系の鎮痛剤は使わないで済んだ。ガバペンはベルケードの抹消神経障害に対して使用した。
上に記載した薬のうち使わなかったのは、オピオイド系の鎮痛剤と末梢神経障害に対する牛車腎気丸とノリトレンだけでその外は全て使用した。帯状疱疹神経痛の痛みに対しては、病院内のペインクリニックで神経ブロックを定期的に行った。痛みの激しい1ケ月位は土日を除き毎日行った。

 退院間近になり点滴を外し、点滴で静注していた薬を錠剤に変えた。その内容は以下の通り。
バルトレックス500mg 朝食後 帯状疱疹予防薬、ビクロックスの代わり。
コートリール10mg 朝食後 ステロイド剤・サクシゾンの代わり
スローケー600mg 朝昼夕食後 利尿剤を使用した為排出されたカリウムの補充。

点滴をしている時から錠剤で飲んでいる薬
パキシル錠10mg 朝夕食後 帯状疱疹神経痛の薬、抗鬱剤。
オメプラール錠10mg 夕食後 胃薬、胃酸の分泌を抑える。
バクタ錠200mg 月水金 朝昼夕食後 カリニ原虫による肺炎の予防。
オゼックス錠150mg 朝食後 抗生剤、細菌、ウイルスによる感染の予防。
フルコナゾールカプセル100mg 朝食後 抗真菌剤、真菌(黴)による感染予防。
ウルソ錠100mg 朝昼夕食後 肝臓増強剤

朝飲む薬を集計すると、バクタのある月水金は8種類、1670mgの薬を飲まなければならない。これらの多くが副作用として脱力感、倦怠感をもたらすものであり、飲みつづけている限り体力の回復は難しい。確かに免疫力も落ちていて、色々な予防措置は必要だとは思うあまりにも過剰な薬の投与だと思う。
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