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Y氏からのメール・万座温泉レポート

8月20日(土)
いつも一緒に沖縄へ行っているY氏から、避暑で万座温泉に行ってきた報告がメールで送られた来た。本来私が入院していなければ今年も2人で沖縄に行っていただろう。しかしそれが無理だったので、彼は一人で避暑地を探し出かけていった。そのレポートが一昨日届いた。彼独特の視点で書いていて興味深く読むことが出来た。私だけが読んでそのままにして置くのは、折角書いたのにもったいない。自分で旅行に行けないので、代わりという訳ではないが、以下彼のレポートを紹介する。

mlo.jpg

☆ 避暑へ
8月になって、家の中は午後には36度を超す日が続いた。午前中に家事をすませ、国会図書館とドトールで夕方5時頃まで過ごすが、外気はムッと暑い。

8月10日、避暑というものをしようと思った。これまで、夏は暑いところで体を鍛えるものと観念してきた。幼少の頃は逗子、葉山、中高生の頃は伊豆、その後は奄美、沖縄―要するに海だ。「節を曲げる」という言葉が浮かぶ。後ろめたい。ここ2年、イギリス、オランダ、ベルギーなど美術館巡りと称して涼しい夏を過ごし、軟弱さが身についてしまったのだろうか?これは堕落というものの始まりではないか?

だが、「35年働いてきたんだから、避暑くらい行っても罰は当たらないだろう」という論理が浮かんだ。「35年」の次に「汗水流して」を加えると、この論理の勝利は確定した。 

☆ 万座温泉
manza_convert_20110820102936.jpg  万座温泉全景

涼しい所、涼しい所と探したところ、日本一高い所にある温泉地は万座ということが分かった。標高1800m、涼しそう。安い宿、安い宿と探したところ、万座で自炊を受け入れている宿が一軒だけあった。豊国館。2食付で7千円から。自炊は3千7百円から。ご飯とみそ汁が出る半自炊はプラス5百円。

長期滞在したかったがお盆期間は混むだろうし、19日から都立図書館でアルバイトする約束があるので、15日(月)~18日(木)日とする。お盆は終わったのに繁忙期料金でプラス千円という。仕方ないか。

安い行き方、安い行き方と探したところ、新宿発朝9時、軽井沢経由、万座・鹿沢口(JR吾妻線の駅がある)12時半着長距離バス千9百円を発見。直ちに予約。終点は草津。地図を見ると、万座は軽井沢のかなり北、白根山を挟んで草津のちょっと西にある。

バスの乗客は学生らしい若い人ばかり。2席×2列=40席で3分の2くらいの入り。通路を隔てた女性の二人連れの窓際席の方が、しきりに通路席の娘の背中や脇に手をやって揉んだりする。最近の仲良い娘たちはそんな風にするのかと思っていたら、窓際席のは男だった。「温泉泊の準備なんかするんじゃねえよ!」と掴みかかりたい。SA休憩の機会に前の空席に移動、心の平安を取り戻す。

軽井沢駅で憎い二人連れを含め乗客の3分の2くらいが下車。軽佻浮薄・軽薄軟弱な奴らだ。外もキャピキャピした奴だらけで自転車に乗ったりしている。駅もオシャレ、店もオシャレ。シャラクサイ所だ。軽井沢近辺のひどい渋滞のため、万座・鹿沢口着は午後2時。

☆ 豊国館
30年近く前に万座に来て家族で泊ったのは日進館。古い木造で、山の斜面にある苦湯とか黒湯とかの五つのお風呂に入れた。スキーの後、お風呂を結ぶ暗い急な廊下を伝い、暗いお風呂を梯子した。雪が浴室の天窓から吹き込んで、娘ははしゃいだ。その後、日進館は失火で全焼し、娘が通っていた保育園の保母さんが焼死した。あの廊下を火が煙突のように通って燃えたのかなと思う。

今、日進館は再建されて、キャピキャピしている。当時まだなかった万座プリンスホテルや万座高原ホテルなんかと同じだ。豊国館は、昔ながらの木造宿。部屋は和室のみ。お風呂は四畳半位の男湯と女湯、4m弱×12mくらいの混浴の露天風呂。宿の前には「歓迎・大露天風呂」の大看板が立っているが、露天風呂の脱衣場には「せまいお風呂なので、さわがないでください」と張り紙してある。豊国館主人はお風呂の広さに強い関心があるようだ。

泉質は「酸性含硫黄-ナトリウム―硫酸塩―塩化物泉(H2S型)」で「苦湯」。置いてある茶碗で口に含むと苦い。柘榴から甘みを抜いたような味。湯温は80度位か、かなり熱い。浴槽に流れ込む源泉は透明だが、浴槽の湯は湯の花がいっぱいで青みを帯びた乳白色。淳一郎先生とか淳一先生なら、「熟れた女の豊満な下腹」なんかを連想するのだろう(ぼくはその辺、よく分からないけど)。

ホースの水で湯温を調整している。「水を入れっぱなしにしないで下さい」と張り紙してある。薄まっちゃうんだろうな。浴槽はごつい木を組み合わせたもの。長年月を経て木目が浮き上がっている。掃除時間(入れない時間)はない。50年ほど前、学生時代に万座・鹿沢口から徒歩で登って湯治にきたことがあるというおじいさんの話では、掃除は月に一度くらいだそうだ。「湯を抜くといっぱいにするのに時間がかかるからね」と説明してくれるが、広い露天風呂の方でも5・6時間もあればいっぱいになりそうだ。「どこだったかの先生によると、万座の中ではここの湯が一番いいということだ」と2回言った。おじいさんは豊国館贔屓なんだ。

露天風呂は建物の横の戸外にある(当り前か)。浴槽の周りはもう穂を膨らませ始めたススキ。その後ろの灌木の茂み越しに万座峡が遠望できる。湯には塵、虫、落ち葉がまったく浮いていない。丸太をくり抜いた給湯樋の反対側の浴槽の上が横10㎝・深さ1㎝ほど排出口として切り込まれていて、落ち葉を湯に浮かせると、2m位を5・6分流れて排出された。湯の表面部分だけが流れ出る。成程ね。

初日15日の夜は満月だった。まさに十五夜お月さん。夜12時頃、宿の人は洗面器を重ねたりして風呂場を片づけるらしい。その後は入る人はほとんどいない。満月と飛ぶ雲を眺め、峡谷を吹きわたる風でほてった体を冷ます。ひとり。薄の穂が揺れる。

案内書に湯の効用(適応症)がいろいろ書いてあり、そのいくつかに心を撃たれた。「真菌症(水虫)」(ぼくのは根絶せず、拡散しているようなのだ)、「高血圧」「動脈硬化」(退職後、血圧は大幅に下がったけど)、「皮膚掻痒症」(夏でも時々皮膚の一部が痒い)。「体質改善」なんてのもある。何にせよ、「改善するといいな」と思う。

pp_convert_20110820102221.jpg  houkokukan-2.jpg 豊国館露天風呂

☆ 食事
洋風の食堂でいただく。一人客がぼくを入れて3人。おじいさん夫婦2組。おじいさん夫婦と娘、30台夫婦各1組、子ども連れ2組などなどで30人位。広いので席の3分の2位は空いている(「3分の2」が多いな)。自炊部のお客さんは客室で食べる。おかずは普通の民宿より多めの品数。原価が高そうなものもないが、冷凍物はなく、手をかけている感じ。ご飯とみそ汁は熱くておいしい。おかわり自由。

これなら半自炊でみそ汁に玉子を落として朝食は十分だ。海苔を持っていけば植物性繊維も足りる。夕食は、レトルトのマーボ豆腐とかビーフシチューとかローストビーフとかを持っていけばいい。昼食はレトルトのカレーでカレーうどん。カレーラーメンもいい。

自炊室では、おじさんとおばさんがお喋りしながらそれぞれ何か作っていた。2食付きのお客さん同士は挨拶を交わす程度だが、自炊部のお客さん同士は仲が良さそうだ。子ども連れもいる。若い娘はいない。自炊室は8畳間の縦半分位の面積でガスコンロが6台。鍋・釜・薬缶、食器多数。冷蔵庫。み~んな、ただ。

☆ 本白根山トレッキング
三日目、17日。太ってきたので運動することにする。万座観光協会のHPに夏のハイキングとしてこれが紹介されていた。若い娘達が、笑いさざめきつつ、花を愛でつつ、野山を散策するのだ。ぼくはひとりだけど、微笑みつつ、花を愛でつつ、野山を行こう。コースは万座温泉入口から本白根山頂(2,165m)で標高差365m。片道6.2㎞、往復12.4㎞だから4時間もあれば大丈夫。るんるん。

だが実態はほぼ登山だった。9時出発。とっつきから平均仰角30度位の登りの木道、というより木の階段でそれが延々と続く。10時半になっても行程の半分。そこは本白根山よりにちょっと低い山の頂で、本白根山に登るにはその間の深い谷に降りねばならない。谷への道は熊笹の中をはるか下にのび、暗くて見通せない。

ぼくはぞっとした。万座-本白根山の標高差は365mだが、登りは計700mにはなるだろうし、300m近い降りが加わる。大体、6.2㎞というのは平面である地図上の道をくるくる回る物差しで測った数字だろう。登り降りの実際の行程距離は、これにtan30°を乗じたもののはずだ。ぼくは意志とか根性とかとは無縁だが、ここは勇気をもって引き返すこととした。

途中出会ったのは二人。一人は自然保護官という感じの男で、ストックを両手に本白根山の方から走ってきた。もう一人は若い兄ちゃんで、マラソンスタイルで万座の方から走ってきてはきはきと「こんにちは」と言い、しばらくして駆け下ってきた。ぼくが諦めた-じゃなくて、「勇気を出した」地点-冷静にいうと「折り返した地点」から彼も戻ってきたようだ。かなりのハードトレーニング。木の階段(15cm位の隙間がある)を踏み外せば骨折。牛若丸みたいだ。それにしてもどこに野の花がある? 熊笹ばかりの山道じゃないか。コースを間違ったかな。

☆ そのほかのこと
○ 最高気温は26℃。日没後は急速に下がり、丹前を羽織る。
○ 温泉には朝・昼・夕・深夜と、日に4回は入った。水虫は大幅に改善したようだ。
○ ビールは隣の高原ホテルの売店で淡麗生500mlが210円。
○ この方面には車で来る人が大部分。9割は車だ。白根山麓の広大な駐車場は大混雑。万座・鹿沢口発、JR吾妻線・上野直通の草津4号は心配になる程がらがらだった。宇沢弘文教授は、米軍の日本植民地化方針の柱の一つが戦争協力した米国自動車産業のための市場化=高速をはじめとする道路整備政策だと語っている(『始まっている未来』58-61p)。成功したんですね。

万座温泉: 万座温泉は海抜1,800m。秀峰白根山(2.162m)の大自然にいだかれた日本屈指の高地温泉です。風光明媚な眺望と、清冽な空気に恵まれたまさに理想的なリゾートです。源泉は硫黄泉で約80度の高温。湧出量は1日に540万リットルに達しています。豊富な湯量に恵まれ、泉質は20種類を越え、名湯中の名湯といわれてきました。胃腸病・リュウマチ・神経痛・呼吸器・婦人病などに効能が顕著で広く知られています。(資料と写真:万座温泉観光協会、豊国館HP)

テーマ : 思ったこと・感じたこと
ジャンル : 日記

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なかなか読みごたえがありました。
独りの中年過ぎた男性の
猛暑から逃げるべき言い訳と行動が切なくやる瀬なく、ニヤリとさせてくれました。

よい友人ですね。

できるなら私はこのY氏と一緒に旅に出たいです

No title

Y氏よりまりこぶさんの感想について、「色々気を使ってもらって有難う」といった感謝のメールが届いています。心温まる感想が寄せられると書いた方も書きがいがあるというものです。
プロフィール

yosimine

Author:yosimine
がん治療とは長く細い道を辿ら
なければならない。その先に希
望があると信じながら。

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