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プラド美術館所蔵・ゴヤ・光と影

11月2日(水)
 今日は輸血もなく、C-CSFの皮下注射をするだけだったので血液内科の診療では珍しく午前中で終った。天気もいいしすぐ家に帰る気もしない。上野公園の国立西洋美術館で「プラド美術館所蔵 ゴヤ展」が開催されている。「雅宴から動乱へ―画家ゴヤが見つめた光と影」というキーワードのもとで、さまざまな切り口からゴヤの画業の断面を示し、その核心に近づいてゆくことが展示会のテーマである。秋の深まり行く上野公園を散策し、ゴヤ展を見に行くことにした。

ゴヤ

展示作品の大部分が素描やデッサン版画などであり、かなり小さく描写が細かいので近くに寄らないと何が描いてあるかわからない。最近行ったゴッホ展や空海展ではあまりにも会場に人が満ち溢れゆっくりと作品を見ることも出来ない程だった。今回はどうだろう。会場が混んでいたら作品に近づくだけでも大変だ。会場はそれ程混んでいなかった。じっくりと50cm位に顔を近づけて鑑賞することが出来たのでゴヤの作品を堪能出来たという感じだ。

華やかな油彩は遠くからでも見えるので問題はない。「着衣のマヤ」の周りは人が群がって近づくのが難しいのではないかと思っていたが、それ程でもなく十分鑑賞できた。フェルメール展では作品を見るのに列を作って順番に作品の前を通り過ぎるという見方しか出来なかった。

「着衣のマハ」のマハとは特定の人物を示す固有の氏名ではなくスペイン語で<小粋な女>を意味する単語だということだ。マハは当時スペイン国内の貴婦人が愛用し流行していた異国情緒に溢れたトルコ風の衣服に身を包んでいる。色彩においても黒色、金色、緑色、紅色、茶色、白色などを用いた独特の配色によってトルコ風の衣服の雰囲気や質感を表現している。

 ゴヤ展の紹介: 鋭い洞察力と批判精神に基づき、人間と社会を鋭く見つめた作品を描き、近代絵画の先駆者とも呼ばれるスペインの巨匠フランシスコ・デ・ゴヤの本格的な作品展が開催された。プラド美術館から出品される油彩、素描、版画など72点に、日本国内の版画51点を加えた計123点で構成される。その作品はヨーロッパ社会の一大変革期の証言である。

40年ぶりに日本で公開される「着衣のマハ」や初期の名作「日傘」など、美術史に残る著名な絵画が展示されている。激動の時代をたくましく生き抜いたゴヤの独創的な芸術世界が紹介されている。

 フランシスコ・デ・ゴヤ(1746-1828): ゴヤは地方の職人の息子から国王カルロス4世の首席宮廷画家へと登りつめ、王侯貴族や廷臣たちの優雅な肖像画によって名声を得た。しかし、ナポレオンの侵略によりスペインの平和が覆されると、老年期のゴヤは、戦争と混乱に見舞われた民衆の悲惨な現実を見つめる。

スペイン社会の悲惨な現実や、心の奥にひそむ不条理な幻想世界への関心は、彼の後半生の芸術に大きな展開をもたらす。さらに、彼のまなざしは現実を超えた夢や幻想の世界へも向けられ、近代絵画の先駆とも言われるユニークな作品群を生み出した。社会と人間の諸相を光と影の交錯のもとに捉え、人間への飽くなき好奇心に支えられたゴヤの創造活動は、82年の生涯の最後まで衰えることはなかった。(ゴヤ展HP)

 ゴヤの生きた時代の変遷は、宮廷画家としての彼の絵に決定的な影響を及ぼす。フランス革命の余波がスペインにも及び、激動の時代に入る。1792年、病気のため聴覚を失う。自由主義者との交際も深まり、批判精神が鋭くなり、洞察力を深めていった。

ゴヤはフランス革命を支持していたが、スペイン人民の独立戦争を支持するという矛盾した立場に立たされていた。1820年、自由主義革命を支持。しかし1823年には再びフランス軍の介入で圧殺される。こういったスペイン独立戦争の中で描かれた「戦争の惨禍」の一連の素描の中で、戦争や権力に苦しめられる人々の姿も描いていった。その中の代表作が「プリンシペ・ピオの丘での銃殺」であるが今回は来ていない。

展示会には版画集「ロス・カプリーチョス(気まぐれ)」の作品が多く展示されているが、その中では人間風刺、社会批判を展開しながら、人間とは何かという普遍的なテーマを描き出している。

 スペイン独立戦争という時代背景の中で、画家は戦争の悲惨さを描きながら、スペイン社会の悲惨な現実を深く抉り出していった。同時に心の奥にひそむ不条理な幻想世界への傾斜していく。展示会の最終コーナーの「ボルドー素描帖G・人間の迷妄と動物の夢」や「ボルドー素描帖H・人間たるものの諸相」の中にゴヤの、その時代に生きる人々へのメッセージが読み取れる。風刺という手法を用いながら人間の弱さや傲慢さなどその本質的内面性を描いているのである。

「ロココの時代」から近代的な「市民社会主義の誕生」という時代の転換期を生き、「美の革命家にして現代の預言者」と言われるゴヤの作品の中で、「日傘」に見られるような初期のタピストリー用原画に見られる大きく派手な色遣いの油彩画や、人物の内面を暴き出すかのような肖像画は、それぞれ独自の魅力を持っている。

しかし一方展示されている多くの素描やデッサンの類における表現の中にまさに「光と影」の意味がはっきりと伝わってくる。ゴヤの描き出す陰影はまさに近代絵画への扉を大きく開いたといえるだろう。

テーマ : 思ったこと・感じたこと
ジャンル : 日記

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