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鎌田實 『あきらめない』

11月12日(土)
415_convert_20111112072111.jpg 鎌田實さんの『あきらめない』という本を読んだ。この本の内容は我々がん患者が死というものと無関係に生きることが出来ない状態にあって、どのように生きていくことが出来るのかを、いろいろな人の死の迎えかたを記述することによって、「死」を通して考えるための実例を示している。

読者はその中から自分に見合った「死」の方法を見出していくことが出来るだろう。そのことによって死は自分とは無関係な別の世界のことではなく、自分にとってもっと身近な出来事であり、必ずやって来るものである事を理解する。そしてそのことは同時に、如何に死ぬのかについての考察をめぐらすことになる。

この本についての感想を書くのは余り意味がない。本の中に凝縮した鎌田さんの言葉を追っていけば、如何に多くの人が、様々の条件の中で、満足して死んでいったのかが記述されている。それを読みながら自分の死に方に思いを巡らすことに意味があるにではないか。読書ノートを写したという感じの記述になってしまうが集英社文庫からの引用した文章そのものである。

 病気になったおかげで、満足度の軸が変わった。私は人生の意味が見えてきたのかもしれないと思った。生きることの本当の価値に気がついた。人間ってすばらしいと思う。幾つになっても変われる、何歳になっても成長できる。前は会社での出世とか、特別に大きな仕事をすることなど劇的なことだけが、自分にとって最重要課題でした。

以前には平凡であったことが、今ではとても大事なことのように思えてきた。特に無心に木々の間を歩くと、私は生きていることをつくづく実感します。そしてそんな時間をとても貴重に思い、できるだけ多くとりたいと考えています。がんにならなければあと20年も生きられたかもしれないけれど、もしその期間をギューッと縮めたような充実した時間を生きることができれば、それはそれでよいのではなかろうかという心境にいたっています。

ぼく(鎌田)は見た。がんばらない、あきらめない、希望を捨てない生き方を生きる命を。(集英社文庫P31~33)

 藤原新也と対談した。「あの人骨を見たとき、病院では死にたくないと思った。なぜなら、死は病ではないのですから」多くの医者は死を病にしてきた。ぼくたち医者は、死を特別なものと考えてきたが、・・・日常の暮らしのなかに、死が溶けこんでいる安定感は、何とも味わいが深いような気がした。「死を生きる」という哲学的な言葉の意味が少し胸に落ちた。(p83)

 人間の幸せのカタチは、物と心の中間にあるような気がする。手に入りにくい貴重な物や経験のなかに幸せがあるのではなく、さりとて心のなかだけにさっと鮮やかに幸せは描けるのでもなく、日常生活のささやかな営みのなかに、幸せのカタチは存在する気がしてならない。命を支えるということは、その人のささやかな営みの何かを支えるということなのだろう。(p89)

 2001年1月、岩手県はおかしなキャンペーンを始めた。「がんばらない宣言いわて」=「がんばる」という言葉は、日本の経済成長一辺倒の象徴です。・・・むしろ自然体に生きて行こうとする意識の象徴なんです。一人ひとりがより人間的によりナチュラルに、素顔のまま生きていけるような取り組みの始まりである。21世紀が始まり、次代に渡すたすきに何を託すか、それぞれの価値観を今一度、問い直し、様々な提言を地方から発信していくときが来ている。

いつも不思議に思う。がんばらない人間や県に虚無感やあきらめ感は感じられない。むしろ積極的に自らの生き方を推し進めようとする高い志を感じる。時代は確実に変わりだしているのかもしれない。(P104)

 余命3ケ月と言われた命が1年8ケ月生きた。見放す医療、放り出す日本の医療に負けない「子どものために生きたい」という命があった。「あきらめない」「生きたい」という思いが。想像を超えた結果をつくりだしたように思う。ぼくたちの体の中には治ろうとする細胞がある。ぼくたちの進化させてきた医学や科学では分からないことが人間の体のなかにはある。(P268)

 『あきらめない』の主人公たちも、たくさんのことをあきらめてきた。あきらめて、あきらめて生きながら、時に、あきらめきれないものが、人生には待っている。大切なのはその時だと思う。その時、投げ出さず、放り出さず、丁寧に生きる姿を『あきらめない』の主人公は見せてくれた。(p271)

 世の中、生きづらくなってきた。夢なんて、希望なんて、もてないときもあるだろう。息をするのも苦痛に感じる時もあるだろう。いいんだよ。生きていれば。命ある限り、あきらめないで。与えられた命の分だけ、自分らしく生きれば。(p272)

テーマ : 思ったこと・感じたこと
ジャンル : 日記

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がん治療とは長く細い道を辿ら
なければならない。その先に希
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