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新薬の恩恵

12月31日(土)
今まで新薬の開発によって命をつないできたといっても言い過ぎではない。私が原発性マクログロブリン血症の診断を受けたのが、2005年11月であった。移植を考えていたので、昔から使用されているVAD療法から始めた。これを4クール行い、自家抹消血幹細胞移植を行ったが、形質細胞腫瘍を根絶できず2回目の移植を行なった。しかし半年後に再発し、2007年5月からMP療法を行ってきたが、半年で効果が薄れてきた。ここから新薬を使用し始める。最初に使ったのがベルケイドである。これは1年前に承認されたばかりの薬である。

新薬の承認
2006年9月  ベルケイド(ボルテゾミブ)承認、ヤンセンファーマ製造・販売
2008年10月 サレドカプセル(サリドマイド)承認、藤本製薬製造・販売
2010年6月  レブラミド(レナリドマイド)承認、セルジーン製造・販売 
2010年10月 トレアキシン(ベンダムスチン塩酸塩)承認、シンバイオ社製造・エーザイ販売 

2007年9月からベルケイド、2008年4月からサレドカプセル、2010年9月からレブラミド、そして今回2011年12月、トレアキシンを使用した。サリドマイドは最初個人輸入で仕入れ使用していた。ベルケイドやサレドカプセルに関しては様々な併用療法を行ってきた。一度効果を失っても、外の薬との組み合わせで効果を発揮し始めるということは多かった。こういった方法で、2006年11月第2回移植で退院以降、ベルケイドを最初に使う条件としての入院以外、5年間通院治療でQOLを保ちながら生活をしていた。

しかし2011年になって通院医療ではIgMの増加を抑えきれず、DCEP療法を行うために入院せざるをえなかった。そして7月、12月と通院での治療に限界が来ると入院治療を行うというパターンになってしまった。2011年以降は病気の質と治療の方法が変わっていったといえるだろう。

多発性骨髄腫の今までの生存率
治療を始めた頃、まだに日本で新薬が承認されていなかった頃の統計では多発性骨髄腫の生存率はかなり低かった。私の病気の診断は原発性マクログロブリン血症であるが、この病気分類では非ホジキンリンパ腫に属し、治療法も悪性リンパ腫の治療法を用いるが、厳密に言うと私の病気はIgM型骨髄腫で、治療法は全て多発性骨髄腫で使用されているものである。そこで生存率も多発性骨髄腫の統計を参照してみる。

・ 予後は治療効果によって異なります。半数以上の人が生存できる期間は有効例(血液中のタンパク質が半分以下に減ること)で5~7年、無効例で3~4年と言われています。各病期における生存期間の中央値はそれぞれ62ヵ月(病期Ⅰ)、44ヵ月(病期Ⅱ)、29ヵ月(病期Ⅲ)と推測されています。(国立がんセンター)

・ 平均生存期間は30~40カ月です。腫瘍の増大、感染症の合併、腎不全、出血、急性白血病化などで死亡します。10年以上の長期生存される人もいます。(病気辞典)

・ 多くの症例で治療中に薬剤耐性を獲得するため、一般的に治癒は困難であり、平均生存期間は3~4年である。(Wikipedia)

・ 治療開始後の平均生存期間は3年、10年以上の生存率約3~5%と報告され,長期予後が望めない疾患であるのが現状である(順天堂医院)

・ 多発性骨髄腫を治す方法はありません。しかし、治療をすれば60%以上の率で病気の進行を遅らせることができます。診断されてからの平均生存期間は3年を超えますが、個々の生存期間は、診断時の状態や治療に対する反応によって異なります。(メルクマニュアル家庭版)

多発性骨髄腫の生存率の変化
多発性骨髄腫患者の生存率は、新薬の開発でどのように伸びたのだろうか。日本ではまだ承認されてから日が浅いので統計がとれていない。

2008年の米国での統計では、多発性骨髄腫患者の8年生存率は74%となった。これは自己抹消血幹細胞移植が広まっていったということと、ベルケイドやサリドマイドが使われ始めたことによる。今統計を取ればもっと生存率は上がっているだろう。

骨髄腫の新薬の開発は目覚しいものがある。今FDAで承認待ちの新薬が20種類あるといわれている。こういった状況に対して希望的提言が何人かの人から寄せられている。

・ 研究者たちは骨髄腫を治療不能ながんから、慢性でマネージが可能な状態に転換させる方向で前進を続けている。(Dr. Anderson)

・ 骨髄腫は造血器腫瘍の中で未だ治癒が現実の治療成績に含まれない疾患である。治癒が困難であるからこそ科学を 駆使して克服する。この地道な歩みが結実する日を祈ってやまない。(三輪哲義)

・ 平均的な生存期間はスタンダードリスクの患者で約7-10 年。しかし、ハイリスクの患者では各種の治療を行っても約2 年となる。あきらめるのは早い、とにかく、使用できる薬剤を順に使用していく。選択肢を全て使用する必要がある。(健康生活)

次の新薬に期待
今の所、ベンダムスチン(トレアキシン)療法を通院で行っていく方針である。しかしそれもやがて効果を失っていくだろう。次に期待しているのがカルフィルゾミブである。FDAでは来年あたりに承認されるのではないか。日本での承認までには2年位かかるだろう。ベルケイド(ボルテゾミブ)がかなり効果的だったのでその意味で期待できる薬だと思っている。

現在,ボルテゾミブ(bortezomib:BTZ)に続く次世代のプロテアソーム阻害剤の開発が進行しており,それらはBTZよりも強いプロテアソーム阻害能を有しており,BTZ以上の骨髄腫細胞への抗腫瘍効果および骨髄微小環境への作用による間接的抗腫瘍効果が期待される。開発の先行している新規プロテアソーム阻害剤であるカルフィルゾミブの臨床治験においては,前治療歴の多い症例やBTZ耐性例に対する有効性が報告され,またBTZより末梢神経障害の発生頻度や重症度が低いことも報告されている。 (血液フロンティア2010年 別冊Vol.20, S-1)

テーマ : 思ったこと・感じたこと
ジャンル : 日記

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ドラグラグが長すぎる

初詣は,大船観音に単独無酸素登頂の予定です。河津桜が咲いているらしい。
よい,お年を。(^^)/~~~

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今年も色々なアドバイスやサジェスチョン有難うございました、来年もよろしくお願いします。
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