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もっと知ってほしい多発性骨髄腫

5月19日(土)
「もっと知ってほしい、多発性骨髄腫」と題してのセミナーがUDXオープンカレッジ、NPO法人キャンサーネットジャパンなどの共催で、14時から16時30分まで、秋葉原UDX4階・UDXシアターで行なわれた。

セミナー002_convert_20120520003453  セミナー003_convert_20120520003527 秋葉原UDX

開会挨拶に続き14:05から15:05まで基調講演として「多発性骨髄腫の診断・治療と今後について」虎の門病院 血液内科 伊豆津 宏二医師からの話があった。

休憩を挟んで、15:25から16:25まで「Q&Aセッション」が行なわれた。骨髄腫に関する質問が事前に回収してある質問用紙に沿って司会の方からなされた。司会をPatient Advocate Liaison (PAL) 代表 古賀 真美さんが行ない、回答を虎の門病院 血液内科 伊豆津 宏二医師が行った。

基調講演


初めてこの病気について学ぼうとする人にもわかりやすく、多発性骨髄腫に関するパンフレットや本に書いてある内容ではあるが丁寧に解説していった。

1、多発性骨髄腫とは・骨髄腫を疑う症状(臨床所見)
-形質細胞の異常増殖が様々な症状をもたらす。
骨痛(病的骨折)、腎障害・腎機能異常、貧血(赤血球の減少)、易感染性、高カルシュウム血症(多飲、多尿、口渇、便秘、悪新・嘔吐、意識障害)、神経症状(脊椎骨の圧迫骨折による頸、胸、腰部痛)

2、どのような検査で分かるのか(初診時検査)
抹消血検査-赤血球、白血球、血小板の検査。貧血の程度は症候性骨髄腫の診断や病期の判定に重要。
骨髄穿刺(マルク)、生検-骨髄中の形質細胞の割合を調べる。
M蛋白-血清と尿の蛋白分画を検査。M蛋白の量は病期を決定する。
血液生化学検査-総蛋白が高い、アルブミンが低い、血清クレアチニン、血清コレステロールの検査
画像検査-レントゲン、PET、CT、MRI・骨病変を調べる

3、診断
特定の免疫グロブリンが増加しM蛋白が増える。血液検査と尿検査。病期の判断をする。骨髄腫による高カルシウム血症・腎不全・貧血・骨病変・その他(過粘稠度症候群、アミロイドーシス、年2回以上の細菌感染)を臓器障害と規定し、M蛋白の量に関わらず、臓器障害のいずれかを有するものを症候性骨髄腫とする診断基準を定めた。

4、治療
多発性骨髄腫の年齢別罹患率を見ると圧倒的に高年齢の人が多い。65歳以上と65歳以下の治療法が異なる。65歳以上の場合はMP療法、ベルケイド+デキサメタゾン、サリドマイド、レナリドマイドなどを組み立てながら、M蛋白の増加を押さえていく。65歳以下の場合VAD療法やベルケイド+デキサメタゾンを用いた化学療法でM蛋白を減少させた後に移植を行う。

5、支持療法
骨病変-ビスホスホネート(ゾメタ)による骨病変の防止、緩和。骨折への痛み止めの服用(オピオイドを含む)。
高カルシウム血症-抗破骨細胞療法、脱水補正、抗骨髄腫療法。
腎不全-腎不全の原因により治療法を選択する。
貧血-赤血球を輸血
血栓-ワーファリン、アスピリン
感染症予防-バクタ(肺炎)やバルトレック(帯状疱疹)を服用する。好中球の減少に対してはG-CSFを投与する。
その他神経障害、過粘稠度症候群、アミロイドーシス、高アンモニア血症などが合併症として起こりうるが、それへの対策も行なわれる。

6、日常生活で心がけること
腎機能を守る、水分補給。骨を守る(ビスホスホネートの定期的な投与)、感染症の予防。

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 UDXシアター                        伊豆津宏二医師と古賀真美さん       

Q&Aセッション(質疑応答)

1、歯科医は一般的にゾメタなどによる顎骨壊死の恐れなどについて知識を持っているのだろうか。

血液学会で、2,3年前に歯科医師会に、多発性骨髄腫の患者でゾメタを使用している患者への注意事項についての文書を送ってある。その文書を見ているはずだから大丈夫だと思う。

2、レナリドマイドとデキサメタゾンの服用の仕方について

レナリドマイドは21日間一定量を毎日服用するが、デキサメタゾンの服用方法について、通常デキサメタゾン40mgを4日間服用し4日間休む、また4日間服用するという事を繰り返す。しかし最近の臨床試験の結果、週1度服用する低用量デキサメタゾンンが4日おきと比べてむしろ効果があるという結果が出ている。

3、多発性骨髄腫に完治ということはあるのか。

自家移植のあと同種移植をした人で、10年以上再発していない人がいる。最近認可された3種の新薬によって、長い間再発しない例が多い。強力な治療でがん細胞を叩くといった方法を選択する人もいるが、出来るだけ再発なしの期間を長くしていくという方法でいく方がいいのではないか、QOLを維持しリスクの少ない治療を選ぶという方法がいいのではないか。

同種移植での寛解の、完治の可能性にかけるという方法もある。移植後のGVL効果を期待できる。しかし移植関連死が3,4割あるという現実もある。どういった治療を選択するか難しい点は確かにある。

4、自家移植を2回行うタンデム移植と自家移植、同種移植のタンデム移植とどちらが効果があるのか。

幾つかの国で臨床試験を行なっているが、後者の方が再発までの期間が長いという報告もあるが、生存期間に関してはまだ資料がなく不明である。

5、MGUSや無症候性骨髄腫の予防は可能か

症候性に何時なるのだろうという不安を抱えている患者にとって予防はないのかと思う気持ちはよく分かる。しかし今の所、予防のため行なった治療に効果があったという報告を聞いてはいない。

6、セカンドオピニオンの受け方

転院を目的とするわけではない、ある病院で提起された治療法が妥当かどうか、ほかの病院で確かめるという目的が主なものだろう。標準的治療であれば血液内科があるような病院であれば、ほかの病院で効いても同じようなこと合えとなるだろう。

7、抗がん剤治療中の食事、アルコールについて

アルコールに関しては、使用している薬との関連で一概には言えない。主治医に聞いてもらうほかない。通常大量でなければ問題はないと思うが、ただし外来で治療薬を投与した日はやめておいた方がいいと思う。

生物を食べていいかどうか。これは白血球の状態による。好中球が少ない時には刺身などは食べない方がいい。生の牛肉で重い食中毒にかかったことはニュースで知っていると思うが、免疫力が落ちている時には注意すべきだろう。生野菜に関してはよく洗えば大丈夫だろう。

8、骨髄腫に対して抗がん剤治療をしなかったらどうなるのか

様々な合併症に対する対症療法が必要だろう。骨病変や骨折に関しては痛み止め、感染症、特に肺炎や敗血症にはそれに応じた治療、貧血には赤血球の輸血、腎障害への対応。ともかく骨髄腫は進行し合併症は病気の進行に伴って重くなるので、症状を和らげる治療を行うほかない。

テーマ : 思ったこと・感じたこと
ジャンル : 日記

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No title

8番の治療しなかったらどうなるのか?本当は薬の副作用と比較する為には欲しい情報です、積極的な治療をしないという選択はとても難しいですね。

治療しなかったら

確かに抗がん剤治療に伴う副作用には結構厳しいものがあります。それをやめて支持療法だけで生き延びられるかというとそうはいかないのではないでしょうか。形質細胞腫瘍(骨髄腫細胞)は放って置けば増殖し、骨髄内の血球や免疫グロブリンの産生を妨げ、免疫力の低下、貧血、出血傾向をたらします。また破骨細胞が活性化し骨折とその痛みに悩まされます。また腎障害やアミロイドーシスになる可能性もあります。

こういった合併症への対応を行っても骨髄腫細胞はさらに増え、より重い合併症に悩まされることになるでしょう。合併症の原因である、がん細胞を押さえ込まなければひたすら合併症との対応に追われることになるでしょう。

ある意味で緩和ケア、終末期医療の領域に近づいていくのではないでしょうか。抗がん剤治療をやらないとういう選択はあるでしょうが、それはいわば死を覚悟して、残りの人生を抗がん剤の副作用で、寝たきりになったり、だるくて家にこもりっきりになるような状態になるよりは、好きなことを出来る体力を残しておいて限られた人生を思う存分生きることを選択するということなのではないでしょうか。どちらにしても生き方の選択であり難しい問題です。
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Author:yosimine
がん治療とは長く細い道を辿ら
なければならない。その先に希
望があると信じながら。

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