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ルベルディ『線と形象』とモンドリアン

2月29日(金)
ニコライ堂の屋根
nicolai_do_01.jpgお茶の水駅に向かう時、聖橋の上からニコライ堂の丸屋根が眺望できた。この建物は1861年に函館のロシア領事館司祭として来日したギリシア正教会大主教イワン=デミトロヴィチ=カサーツキン(修道名=ニコライ)が、1884年に駿河台火消屋敷跡に建設を始め、1891年に完成させた。

ロシア人シチュールポクの設計で、日本における西洋建築の草分けといわれるイギリス人コンドルの工事監督になるものであったが、関東大震災で被災し、1929年に修復された。

ルヴェルディの詩「線と形象」

この丸屋根を見ながら、昔読んだキュビスムの詩人ピエール・ルヴェルディ(1889-1960)の「線と形象]という詩を思い浮かべた。一つの風景を線と形象の中に置きながら、一旦その風景を解体しながらもそのことを通してかえってその風景の本質的様相を浮き上がらせていくその手法に感心したものだ。

 空には青い雲の切れ目
 森には緑こい空き地
 だがデッサンがぼくを閉じ込める
 町にはポーチの円い弓形
 窓々の正方形と屋根の菱形
 線ただ線のみだ
 人間の建物の役立つのは。
 ぼくの頭の中にも
 線ただ線のみ―
 もしぼくがそれに多少秩序だけでも与えることが出来るのなら。
 (『フランス詩体系』青土社刊より)

キュビスム
ルヴェルディに影響を与えたキュビスムとは最初は美術の分野から始まった。それは視覚上の革命的な美術動向で、今まで絵画は一箇所の視点から描かれていたのに対し、色々な角度から見た物の形を、一つの画面に描き、立体的な物全体を平面上に表現しようとする試みであった。そこには時間的経過の記録や、対象となる物体を原型に近い形でキャンバスに落とし込もうという意図も込められていた。ルネサンス以来の「単一焦点による遠近法」の放棄、形態上の極端な解体・単純化・抽象化を主な特徴とする。 フォーヴィスムが色彩の革命であるのに対して、キュビスムは形態の革命であると言われる。

キュビスムの語源
ブラック展(1908年)のカタログの序文にルイ・ヴォークセルが寄稿したもののなかに、「キュビスム」の語源があるとされている。「彼はひどく単純化され、デフォルメされた、メテリックな人間を構成する。彼は形態を軽蔑し、場所も人物も建物も、何もかも幾何学的な図式に、キューブ(Cube・立方体)に還元している。」 

新造形主義
mondrian_blue_plane[1]11ロベルティの詩を読むと、キュビスムの画家ピカソやブラックの作品を思い浮かべるのではなく、ピエト・モンドリアン(Piet Mondrian, 1872年~ 1944年)の絵を思い浮かべる。彼はキュビスムを出発点としてしながらも、宇宙の調和を表現するためには完全に抽象的な芸術が必要であると主張し「新造形主義」を唱えた。

絵画作品は水平線・垂直線・直角・正方形・長方形・三原色・非装飾性・単純性などを特徴とする。垂直と水平の直線、三原色と無彩色の組み合わせから「純粋な線と色彩の純粋な関係」を作り出し、すべての形態を造形し、幾何学的に純粋抽象造形にいたることを主張した。

(上絵、モンドリアン作 コンポジション:大きな青地、赤、黒、黄色、灰色)

モンドリアンとルベルディ
モンドリアンの絵の矩形のコンポジション群を構成する垂直線と水平線には、分離・分断・交錯の「対立」があり、この対立を最終的に「均衡」の関係へ導くところに、モンドリアン的抽象がある。この対立から均衡へのプロセスによって、抽象とはぎっしり詰まった内容をただ簡略化、単純化するのではなく、複雑さをすべて含んだものとなるのである。

ルヴェルディの詩に書かれた風景は、まさに具象と抽象との葛藤の中で、対立から均衡の過程を辿りながらあるがままの自然・昇華されたリアリズムに接近しようとする試みである。

テーマ : 雑記
ジャンル : 日記

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