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監獄人権セミナー「長期受刑者の仮釈放を考える」(続き)

3月26日(水)
 「監獄人権センターよりの提言」

監獄人権セミナーは最初に、監獄人権センターの事務局長である海渡雄一弁護士より「監獄人権センター・政策シリーズvol.6、無期懲役受刑者の仮釈放制度の改革と重無期刑(終身刑)の導入に対する提言~仮釈放の可能性のない刑は非人道的刑罰である~」の内容に沿っての説明が行われた。

無期受刑者の増加
日本における無期懲役受刑者の数は、平成元年には888人だったのが18年には1596人と倍増し、新規無期確定者数は平成8年では34人だったのが18年には135人と大幅に増大した。この中で無期懲役受刑者の仮釈放数が減少傾向にあり1995年以降は執行済み刑期20年以上、2005年及び2006年は25年を越える長期受刑者でなければ、仮釈放が認められていない。しかも長期の昼夜間独居拘禁とされている多くが無期懲役受刑者である。こういった説明の後、死刑廃止国における最高刑とその運用状況が語られた。

無期懲役と仮釈放
現在死刑を廃止するためのステップとして、無期懲役と死刑の溝を埋めるものとして仮釈放のない終身刑導入が提案されている。国連人権基準は仮釈放の可能性のない終身刑を許容していない。「諸研究は、終身刑を宣告された受刑者は、非社会化と依存性を引き起こしうる心理学的・社会学的諸問題に苦しむ可能性があると結論付けているが、これらは受刑者個人の健康にとっても有害であるゆえに、仮に釈放がなされた場合に社会全体にとっても有害である。」(国連終身刑ハンドブック)ということなのである。

最低基準規則では
国連被拘禁者最低基準規則は、受刑者をひとたび社会にとってもはや危険な存在でないとみなすことが出来れば、犯罪の深刻さや当該犯罪の被害者を含め、正義の理由のため必要とみなされる期間を超える長期の拘禁には疑問があり、特別の精査に服するべきだと考えている。

監獄人権センターは、こういった国際的流れを踏まえて、無期懲役受刑者の仮釈放、及び仮釈放の可能性のない終身刑の提案に対して、提言を行っている。

 「長期受刑者の仮釈放について」講師:土井政和教授

処遇概念の転換
人格的変容から生活再建への援助へ-自らの犯罪行為に伴う法的、社会的結果であるとはいえ、本人のみの個人責任として放置されるべきものではない。すでに施設内において、生活再建のための準備として、これらの問題に対処できるような社会的援助が提供される必要がある。

更生保護法が目指すべき改革の方向性
刑事被収容者処遇法で規定された基本的人権の尊重と社会復帰の促進をさらに推進し、対象者が人間としての誇りと自身を持って更生を果たし、再び社会の担い手となれるように、生活再建に向けた援助を提供すること。

仮釈放制度の位置づけ
恩恵ではなく、身体拘束がもたらす弊害を除去し、生活を再建するための援助措置ととらえるべき。必要的仮釈放または権利的仮釈放(善時制)の制度を設けることが望ましい。一抹の不安を理由に仮釈放不適格者が増加すれば、仮釈放によって保護観察処遇を受ければ更生が可能なものにその機会を与えないことになる。

自由刑純化の要請
刑の終了後、その弊害の除去のための措置がとられなければならない。刑の執行に伴って生ずる様々なハンデイが是正され、刑罰を受けなかったと同じスタートラインに立って社会生活が再開されることが必要なはず。自由刑が純化されるためには、社会において生活再建の準備をするための仮釈放が保障されなければならない。仮釈放は自由刑執行に伴う弊害を除去しなければならないという国家の義務である。そのようにとらえることによって初めて、受刑者は仮釈放を求める権利を持ち、審査結果および理由の告知を受け、又不服申し立て権を保障されることになる。

 「イギリスにおける終身刑」ヴィヴィアン・スターン氏

イギリスの終身刑
1956年イギリスでは死刑制度が廃止され、その代替刑として終身刑が導入された。殺人罪には必要的無期刑、傷害致死や強盗などには裁量的無期刑が適用される。無期刑は本当に終身刑なのか。無期刑に関しては最低拘禁期間(タリフ)が定められ、タリフが終了するまでは仮釈放の可能性はない。実際に設定されたタリフを見ると、必要的無期刑については11年以上16年未満、裁量的無期刑については6年から11年未満が過半数を占めている。(1998年時点)

終身刑受刑者の増加
現在の問題は終身刑受刑者の数の増大である。1970年-730人、1999年-4200人、2006年―7300人、現在8000人となっている。フランスでは557人、ポーランドでは185人、ドイツでは2000人以下、スペインは0である。服役期間も長くなっている。1950年の頃は8年、2004年は14年である。54年服役している人もいる。

不定期刑の導入
2003年に「公共の安全を根拠とした不定期刑」が導入された。150の罪名の犯罪に科すことが出来る。通常の量刑を決めその人物が危険だと判断したら、2年間のタリフを科す。その後危険が除去されたと判断されるまで仮釈放は不可となる。受刑者は自分が社会にとって安全であると証明しなければならない。「反犯罪的思考」プログラムを受けなければならない。しかしプログラムは順番待ち、保護監察官は不足し、仮釈放審査委員会も不足しここでも順番待ちとなっている。この不定期刑は「公平な裁判による以外自由を奪われない」という刑事司法の原則を逸脱する危険な動向である。

終身刑の問題
人権派弁護士は終身刑に対して「多くの権利を受刑者から奪う、釈放されるのはどうしたらいいか不明確だ」と訴え、終身刑の意思決定が今までの政治家(内務大臣)から、裁判官に与えられるようになった。最高裁判所は必要的無期刑のタリフについて何年か無期受刑者に知らせるべきという判断をした。2002年には仮釈放審査委員会に代理人をつけることが可能になった。

テーマ : 思ったこと・感じたこと
ジャンル : 日記

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