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食糧危機の原因

5月25日(日)

s_photo11.jpg今年の4月から一挙に、食パン、即席めん、パスタ、牛乳、バター、ハム・ソーセージ、それにビール・・・どれも皆5%から10%の値上げが開始された。中には40%近い値上げのものも出始めている。その原材料が大幅な値上げになっているからである。

小麦、コメなどの主要食糧の国際価格がここ数カ月で急速に高騰した。食料品の値上げ、特に穀物関連の商品の値上げは止まることを知らない。ハウス物に大量の原油を使う野菜の値上げ、大量の飼料を必要とする食肉の値上げ、また石油高騰による輸送費の増加など全てが連動しながら増幅して、更なる値上げが加速されている。最も深刻な影響は食料を輸入に頼っていた開発途上国に現れ、食料を巡って暴動が頻発している。(写真は食料を要求するポスター)

現在の価格急騰の原因を幾つかの資料から取り出してみた。

1、世界的な需要の増加
世界の人口は今、急増している。62億人の地球人口は、70年代からほぼ倍の数字。そして2050年には、今の1.5倍の89億人に達するといわれている。ところが、地球上の穀物の作付け面積は、ここ30年ほとんど変わっていない。取れる穀物量は増えていないのである。人口がさらに増える2030年には、中国だけでも6億人から10億人分の穀物が足りなくなるという予測もある。

確かに、今、世界では60億の人々が食事をするのに十分過ぎる食料(1人当たり356kgの穀物)が生産されてはいる。しかし開発途上国の多くの国では飢餓が広がっている。問題は食料が平等に分配されていないことだ。

(1)経済が急成長を続ける中国やインドの需要増
中国・インドでは、生活が向上し、食肉、加工食品へ移行(穀物や原料、エネルギーの大量消費)、穀物消費が加速的に増大した。また肉類消費の増加による世界の穀物供給への影響も大きい。1978年にわずか900万tだった中国の豚肉生産量は2006年には5,200万t、世界の豚肉生産量の約半分を占めるまでになっている。

(2)食肉生産の増加
世界の食料、特に穀物の多くは購買力のある先進国や途上国の富裕層によって輸入されている。その中でも大きな影響を与えているのが畜産消費だ。1950年に4,400万tであった食肉生産量は、2003年に2億5,300万tにまで急増した。肉を育てるためには大量の穀物が必要とされる。畜産物1kgの生産に必要な飼料穀物量たるや牛肉で11kg、鶏肉で4kg、豚肉で7kgとされている。(牛肉15倍、豚肉9倍、鶏肉8倍)世界の穀物生産の約4割が食肉のための飼料として消費されているのが現状だ。

2、世界の供給の減少
(1)農地の拡大が限界にきており、農地の減少と劣化が進んでいる。
穀物の作付け面積は30年間ほぼ横ばい。30年間で人口はほぼ2倍にになることによって1人あたりの面積は半減することになる。また工業化し工業用地が増え、都市化のため農地が減る。大気汚染、水汚染、土壌汚染が農作に影響する。機械化、農薬、連作、過放牧、森林破壊、土壌流出など土地の酷使することによる農作地としての劣化が進んでいる。

(2)水供給も限界に

灌漑用水が限界に来ており、すでに世界人口の約40%が慢性的な水不足になっている。世界の穀物の1割は補給されない過去の地下水(化石水)で生産されている。すでに一部地域では枯渇が始まっている。さらに中国などは工業化により水利用が増大し下流域での農業が破綻の可能性もある。

3、穀物輸出国の輸出の制限
価格の高騰のもう一つの要因は、穀物輸出国の ロシア、アルゼンチン、カザフスタン、中国、ウクライナ、セルビア、インドなどが、輸出税率を10~25%付加する輸出規制を始め出したことである。自国の食糧確保のため、輸出に回す分がなくなってしまっているのが現状だ。

4、穀物生産国での天候不順による不作
さまざまな地球環境問題が追い討ちをかけている。最大の問題は地球温暖化による異常気象である。世界中で異常気象の頻発や天候不順が起こっており、この気候変動(温度上昇、海面上昇、豪雨、干ばつ)は農業に大打撃を与えている。

世界の穀物需給に影響を及ぼす豪州の小麦が2年連続干ばつで大不作に陥った。現地では依然降雨量が少なく、水不足が続いている。アメリカ中東部や中国の被害も大変である。中国の北部では、今年1月から3月にかけて累積降水量は10ミリにも満たない状況で、 ひどい水不足に見舞われて、土地のひび割れ、小麦の発育不足などの事態が発生しており、この5年来で最大の食糧不足の発生が心配されている。

5、穀物を原料とするバイオ燃料の普及

ブッシュがイラク戦争の泥沼化の中で、脱石油戦略として打ち出してきたバイオエタノール戦略が世界の食糧供給に異常事態を生み出している。ブッシュ政権が「米包括エネルギー法」として、アメリカ国内全体でのエタノール使用量を6年間で2倍にするとの政策を提起した。それ以降、イラク戦争・占領支配の泥沼化と歩調を合わすようにエタノールブームは加速した。イラクからの石油略奪の絵図を描けなくなったブッシュがバイオエタノールに大きく傾斜したのだ。

バイオ燃料用作物面積の増加も大きな問題だ。先進国では、アメリカを中心に食用からバイオ燃料生産に大規模に転換する動きが目立つ。一方、途上国では、海外の企業が参入し、巨大な面積の森林や農地の買い占めが起こっている。広大なアマゾンの森林を焼き払い畑にし、国内で、トウモロコシ畑が増えたため生産が減った穀物、遺伝子組み換えの大豆などを大量に栽培している。

 アマゾンやインドネシア、そしてアフリカでは、バイオ燃料用の作物栽培のために、もともと居住していた人々が大規模に追い出されるケースも生まれている。インドネシアの西カリマンタン地域では、パーム油のプランテーション拡大により、多くの「バイオ難民」が発生し、国連も警告を発した。国連食糧農業機関(FAO)はバイオ燃料用に使用された穀物は少なく見積もっても1億tに上るとしている。

6、投機マネーの穀物市場への介入

米サブプライム住宅ローン問題で、不安定化した金融市場から逃避した投機資金が穀物市場に流れ込み、ファンドマネーの流入は、エタノール生産設備への投資にとどまらず、穀物相場そのものに対する投資がさらに急速に拡大している。

2000年から2007年の5年間で、穀物市場に流入するファンドマネーは5倍にも跳ね上がった。そしてこれまでは穀物生産の変動に連動して上下していた穀物相場であったが、大量のファンドマネーが流入することで、かつてない価格変動がもたらされた。この秋、空前の大豊作が発表されたその日にトウモロコシの価格が上がり始めるという、150年の穀物市場の常識を覆す動きをした。激しい価格変動が格好の投機の機会を提供することで、とりわけサブプライム危機によって株式や債券市場から逃避してきた資金が大量に流入してきている。

7、欧米の食糧戦略が開発途上国の自給能力を奪ってきた。 
貿易の自由化が途上国の農業を潰してきた。欧米の政府は余剰農産物に輸出補助金を与えて農産物輸出を推進してきた。たとえばアメリカでは、綿花やコメ、小麦を輸出するに当たり、30~50%補助して、その分値段を下げて途上国に売り込む。いわゆるダンピング輸出で、途上国の農村は大きな影響を受けてきた。

途上国は国際機関の後押しを背景に食糧生産を止め、コーヒーや砂糖や紅茶などの換金作物生産に特化し、先進国に輸出してきた。しかし途上国の基幹作物である1次産品の国際価格は常に不安定に推移してきた。90年から2000年にかけて多くの農産物価格が低落。特にコーヒーは大暴落し、30年ぶりの最安値を記録して世界のコーヒー生産者を苦しめた。1つの産品に頼ると国際相場に影響を受けやすい、もろい構造になってしまう。

また、輸出型農業は、利潤のために効率的な形態が求められる。その結果、過度の化学肥料や農薬の使用が農民に求められてきた。アジアでも数万人が農薬被害で命を失っている。また、輸出するといっても基本的に輸入国の企業の力が強いので、農産物の買い叩きが起こりやすい。水の過剰利用や現地の環境汚染も深刻だ。その結果土地はやせ、食物は育たなくなる。

安い輸入農産物に依存した結果、途上国の基幹作物の発展を妨げ、国内生産も減少してしまった。自給の根本が崩れてしまったのである。食糧援助に伴って起こる食文化の破壊と食の自給性の喪失だ。海外に基本的な食料を依存してしまうと、今回のような危機にたやすく直結してしまう。食料危機は起こるべくして起こったとも言えるのだ。

テーマ : 思ったこと・感じたこと
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