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『風味絶佳』・山田 詠美

11月8日(木)
 血小板数値が1.1になったということで昨日輸血をした。明日、金曜日の採血結果で上昇が見られなければもう一度輸血をしなければならないが、恐らく大丈夫だろうということで、点滴針の周辺が赤くなっていたこともあって、針を抜いた。何もなければ16日まで点滴針は必要ない。身体に針が刺さっていないという事で気分はかなり楽だ。自由に行動できるといった開放感がある。実際には行動は病院内で制限されやれることも変わらないのだが。

 『風味絶佳』の感想
41_convert_20100603141248.jpg 山田詠美の「風味絶佳」を読んだ。ここには「肉体の技術を生業とする人たち」が描かれている。トビ職、清掃局員、ガソリンスタンド員、排水槽・貯水槽清掃員、葬儀屋と彼らを心の底から愛しぬく女性たちが主人公である。周りの思惑や違和感に囲まれながらも、独自の愛を貫く。

 何故このような愛の形が可能なのだろうかと思うかもしれない。しかしそれはいかに理不尽な形に見えながらも両者にとっては限りなくいとおしく必要なものなのだ。それは他人を不可侵にする聖なる領域なのだ。この非日常性こそが、日常性の本質に逆に迫ってくる。

 しかし一方であからさまな人間的欲望、性欲、食欲を鮮明に曝露し日常化していく。そして「制服・ユニフォーム・仕事着」の中に沈静している退屈やら不安、ささいな楽しみ、日常性の中の誰しもに共通する空間を提供しているのだ。
 
 人生そのものを味わいつくそうとする徹底的な貪欲さで最高の味わいを求め、その愛とはどこまでも自身に帰依する思いなのだといったしたたかさを持ちながらドラマは展開していく。トレンディドラマの恋愛劇の虚構性に比べ、このような表現こそ本物のリアリティを感じさせてくれるのだ。

 「愛情を深めて行くってことは、心の中の寂しさを増やして行くってことと同じだ。相手の存在が心の中をドンドン侵食していき、もし、それが突然になくなった時を予測して怯える。そんな負担も負わずに、私は恋をしていると、堂堂と言ってのける人を、私は好きになれない」(『チュインガム』より)といった作者の恋愛観がこの小説でもはっきりと表現されている。
 ブログの中にこの小説への感想が書かれていた。引用してみる。
 
  ゆっくりと紡ぎだされる、甘くうっとりした時間。
  恋愛に浸りきり、本能の赴くままに、二人だけの愛の時間を過ごす主人公たち。
  時にその恋は破れたり、ゆがめられたりすることはあっても、
  彼らは大切な人を、気持ちを、失いっぱなしでは終わらない。
  必ず新しい日々に向かっていくのだ。
  それは恋する勇気を与えてくれる。
  新しい明日にチャレンジしようという気持ちを起こしてくれる。
                     (ブログ『朝から晩まで本を読んでいたい』liammより)

テーマ : 思ったこと・感じたこと
ジャンル : 日記

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