fc2ブログ

ベルケードとは

11月11日(日)
 11月7日に血小板の数値が1.1になり輸血して以降、16日にベルケード療法第2サイクル開始まで副作用の観察・対応以外加療は全くない。月、金の採血と午前、午後、夜の体温、血圧、酸素、脈拍の計測が行われるだけだ。この計測も製薬会社の観察、・検査スケジュールに従って行わなければならない。

 ベルケードの保険適用・厚生省の認可の条件は、臨床例が少ないということもあってかなり制限されている。第1サイクル、第2サイクルの6週間に関しては入院が必要とされている。
 新薬ということでどのような副作用が起こるかわからないので担当医師の厳格な管理の下で、副作用に対する緊急の対策が取れるよう状態に置くこと、つまり入院が製薬会社のベルケード提供の条件となっている。何も加療がなく入院しているということは無駄に思えるが、薬提供の条件となっているのでやむをえない。病院にいれば予測不可能な副作用にも緊急に対応できるので安心であることは確かだ。

1、ベルケード(ボルテゾミブ)とはどういう薬か。
 プロテアソーム阻害作用を持つ。プロテアソームは、細胞内の不要タンパク分解装置というべきものであり、細胞周期を制御するタンパク質や、細胞増殖やアポトーシス(細胞死)にかかわるシグナル伝達関連タンパク質の調節・制御に関与している。
 
 ベルケイドはここを阻害することから、細胞周期や細胞内シグナル伝達系に関連する調節タンパク質に影響し、抗腫瘍効果を誘導する。腫瘍細胞では細胞周期や細胞内シグナル伝達に関連する調節タンパクの産生異常がよく見られることから、正常細胞よりもプロテアソーム阻害剤に対する感受性が高いと言われている。
 
 ベルケードはこの酵素の働きを抑えることによってがん細胞を殺したり増殖を抑えたりする注射用の薬である。近年,プロテアソーム阻害剤であるベルケードの多発性骨髄腫に対する抗腫瘍効果が臨床的に証明されたこともあり,プロテアソーム阻害剤は抗癌剤開発の新しい分子標的薬として注目を集めている。
 
 米国では2003年にFDAが承認した。欧州医薬品審査庁(EMEA)の医薬品審議会(CPMP)は、ベルケードを多発性骨髄腫の患者の治療薬として例外的な状況において承認する旨を勧告する肯定的な見解を発表しその後認可された。

 既に海外では70ケ国で再発又は難治性多発性骨髄腫に対し有効な薬として承認されている。日本では患者団体の要望に基づき、海外で使えて日本では使えない薬の早期承認を目指す厚労省の「未承認薬使用問題検討会議」で、検討対象品目になっていたが2006年10月に幾つかの条件付で承認された。

 ベルケード発売元の製薬会社ヤンセンファーマ社のホームページには次にように書かれている。「ベルケイドは、プロテアソーム阻害作用を有する世界初の抗悪性腫瘍剤で、欧米ではその優れた臨床効果により『再発又は難治性の多発性骨髄腫』の標準的治療薬としての位置付けを確立している薬剤です。本剤はこれまでに海外で50,000人以上の患者さんに投与されており、多発性骨髄腫の治療に一大変革をもたらした功績によって、製薬産業界のノーベル賞とも称される2006年度“国際プリ・ガリアン賞”を受賞しています。」

2、『朝日新聞』2005/12/12記事
 何故厚生労働省はベルケード使用対象をかなり制限し、厳しい条件の下認可したのかの理由は朝日新聞の記事に書かれていた。以下引用する。

 [ 血液のがん・多発性骨髄腫で未承認の治療薬べルケードを使った患者52人のうち4人が副作用の疑いで死亡していたことが、日本血液学会と日本臨床血液学会の調査で分かった。患者は、同薬を承認済みの米国などから 個人輸入していた。高い死亡率を重くみた両学会は調査結果を近く公表し、 会員の医師らに注意を促す。

 両学会は、会員から死亡例の情報を受け、11月中旬、幹部会員を対象に個人輸入の状況を緊急調査した。その結果、国内で使用が分かった52人のうち9人に重い肺障害が起き、うち4人が死亡していた。4人は全員、薬との因果関係が疑われるという。このほかに、国内で行われた臨床試験中に60代の女性1人が間質性肺炎で死亡した。約200人を対象とした米国の臨床試験では、副作用と疑われる死亡は2人だったとされる。
 日本血液学会常任理事の池田康夫・慶応大医学部長は「まだ使った患者は少ないが海外に比べ副作用の頻度が非常に高いようで、慎重に使わなければならない。」と話している。]

3、ベルケード提供の条件
① これまでに少なくとも「過去2回以上の前治療歴があり最後に受けた治療後病気の進行が認められた骨髄腫患者」が投薬の対象である。

② ベルケード治療を受ける前の検査及び説明:治療にあっての説明と同意、妊娠検査、胸部レントゲン、CT検査、呼吸状態、心臓検査(心電図、エコー)血液検査1(末梢血、血液生化学)、血液検査2(KL-6,SP-D,SP-A,LDH・肺、臓器の異常の有無の検査)、尿検査、身長、体重、血圧、体温、問診。これによって肺、心臓、肝臓、腎臓の検査をして異常がなければベルケード療法を受けられる。

③ ベルケード治療中の検査:上記検査に準じた検査を、ベルケード投与日及び休薬期間中にも行う。

④ 入院:投与開始後の比較的早期に症状が特に重い副作用の報告があることから治療開始後6週間は経過観察のため入院が必要。

⑤ 通院治療実施中、突然の状態変化に備え「緊急時連絡カード」の常備携帯。

⑥ 市販後調査のための情報提供:厚生省の指示により、ベルケードの安全性(副作用の発現状況や発現に関わる要因の検討)と有効性(薬の効果)に関する情報を早期に把握して、この薬の治療をより安全に行うための検討を行う。

⑦ 製薬会社として:発売後一定期間は緊急時の対応が可能な一定の基準を満たす医療機関(施設数約400施設を予定)に納入先を限定。
 【納入先医療機関の基準】
  (1) 全例調査に協力・契約可能な施設
  (2) 日本血液学会認定血液専門医が常勤している施設
  (3) 投与早期に入院環境で医師の管理下に治療できる施設 等

・ 発売後、特定使用成績調査(全例調査方式)を実施。(調査予定症例数:500例)
・ 安全性対策ならびに有害事象と薬剤との因果関係等を評価、検討する「市販後安全理体制検討会」、肺障害に特化して評価、検討する「肺障害第三者評価委員会」を学会(日本臨床血液学会、日本血液学会)の協力を得て社外に設置。
・ 専門性の高い血液腫瘍科専任の医薬情報担当者による医療機関・薬局・特約店へ情報の徹底、医療従事者、患者さん向けにホームページ上での安全性情報の定期的更新。

テーマ : 雑記
ジャンル : 日記

コメントの投稿

非公開コメント

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
プロフィール

yosimine

Author:yosimine
がん治療とは長く細い道を辿ら
なければならない。その先に希
望があると信じながら。

最近の記事
カレンダー
02 | 2024/03 | 04
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31 - - - - - -
ブログ内検索
最近のコメント
最近のトラックバック
カテゴリー
リンク
月別アーカイブ
RSSフィード