1月30日(金)雨は止まることなく降り続いている。池袋まで買い物に行った。映画館の前を通る。
『チェ/28歳の革命』をやっていた。見たいと思っていった映画だ。丁度2時。映画が始まる時間だった。長時間の映画なので、映画館に入るかどうか少し迷ったが、雨の日、映画を見るのがふさわしいような気がして入館した。
以前DVDで、『コマンダンテ』を見た。2002年2月、オリヴァー・ストーン監督がキューバの最高司令官フィデル・カストロへの取材を敢行し、30時間にも及ぶインタビューを編集したものだ。キューバ革命の足跡がカストロの口から淡々と気負いも無く静かに語られ、革命の情景が伝わってくるものだった。
そして今の時代、何故チェ・ゲバラの映画が前編、後編と長い時間をかけて映像化されようとしたのかそのことにかなり興味を持った。『チェ/28歳の革命』はチェ・ゲバラの、闘士としての半生を2部作で描く歴史ドラマの前編である。フィデル・カストロと出会ったチェ・ゲバラが、キューバ革命へと突き進む過程がドラマチックに展開される。実写フィルムを折り混ぜながらドキュメンタリー映画を見るような臨場感を持って迫って来る映画だった。
STORY:1955年、貧しい人々を助けようと志す若き医師のチェ・ゲバラ(ベニチオ・デル・トロ)は、放浪中のメキシコでフィデル・カストロ(デミアン・ビチル)と運命的な出会いを果たす。キューバの革命を画策するカストロに共感したチェ・ゲバラは、すぐにゲリラ戦の指揮を執るようになる。
ゲバラとはまさに、本気で世界を変えようとした男であり、ジャン=ポール・サルトルから「20世紀で最も完璧な人間」と称され、「世界で一番格好良い男」とジョン・レノンに言われている。
理想の実現のため、人民の解放のため、自らの命をかけ、限りない情熱で邁進していったその姿は、今の逼塞した社会の中で憧れを持って眺められるのかもしれない。人は恐らく理想に燃え尽きるような生を求めているのだろう。そしてそれを体現したゲバラに憧れるのだろう。
彼は国境や国籍にとらわれない世界主義者であり、また徹底した平等主義者でもあった。資本主義大国が開発後進国の労働力を酷使して私腹を肥やす姿に怒りを覚え、世界各地で反政府運動を行った。
今になって何故チェ・ゲバラという伝説的英雄を、一人の人間として見ることができるようになったのか。「共産主義」という思想がソ連の崩壊とともに過去のものになり、ゲバラを評価すること=「共産主義の讃美」ということではなく、元々彼の考え方は、帝国主義の抑圧から民族の開放を目指すそのことだったのであり、そのことが理解される時代となって初めて、「人間ゲバラ」の姿が明らかになってきたのではないか。
さらにアメリカという巨大国家の、そして帝国主義国ということの本質が、世界一のテロ輸出国家であり、9.11以降のアメリカの侵略行為であるイラク戦争の中で明らかになり、この事実を見てもゲバラがかつて世界各地で行った反帝国主義、反アメリカの闘いの意味、そして正当性は明らかになって来ている。
圧制者からの解放を!ゲバラは言う「2つ、3つ、もっと多くのベトナム(反帝国主義人民戦争)を作れ」と。この言葉に象徴されるように、武力闘争を圧政から逃れる唯一の道と断じている。彼の著作『ゲリラ戦争』の中で「平和革命と選挙による変革の道は可能性があるのなら望ましいし追求するべきだ。しかし、現在の条件のもとではラテン・アメリカのどの国においてもそのような希望は実現されることはありそうもないと思われる」と言っている。帝国主義の暴力には暴力を!
ゲバラは、“圧制者からの解放”を目指し、貧困と搾取に苦しむ新たな国へ、再び一人のゲリラとして向かった。国家の要人という地位を投げ捨て、再び過酷なゲリラ生活に戻っていった。
そして彼は言う。「僕は新しい戦場に旅立つ。帝国主義があるところならどこでも戦うためにだ。永遠の勝利まで。革命か、死か。」
「もし我々が空想家のようだと言われるならば、救い難い理想主義者と言われるならば、出来もしないことを考えていると言われるならば、何千回でも答えよう、“その通りだ!”と」
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