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映画 『耳をすませば』

11月12日(月)
 何日かぶりの晴天である。雨の日の後の晴れはとりわけ空気が澄み見晴らしがいい。起床時間の6時少し過ぎ、病棟の窓の左側、ビルの低い地平線から太陽が完璧な円形を保ちながら昇り始める。西の方面を見ると富士山が雪をかぶり際立った姿を見せている。

 その周辺には箱根や大菩薩、奥多摩方面の山々が少し霞みながらも連なっている。ほんのうっすらともやったビル群に朝日が反射し淡い光を放っている。この高台の10階からの眺めは、『耳をすませば』の最後の場面、2人で朝日を眺めているシーンと重なり合い感動的だ。 

『耳をすませば』を観て
n_611vwdg8004ps.jpg スタジオジブリ製作、近藤喜文監督、宮崎駿プロデュース作品『耳をすませば』」というDVDを見た。中学3年2学期の少女の、受験か将来の夢かで揺れ動く心のヒダをえぐったものだ。

 都会という星も見えない、いつも明るいコンクリートジャングルが揺ぎ無い現実として彼女の故郷として舞台となっている。カントリー・ロード(心の故郷)というオリビア・ニュートンジョンの曲が映画を通底して出てくる。主人公の雫が作ったその替え歌がコンクリート・ロードである。
     コンクリート・ロード どこまでも 森をきり谷を埋め
     West Tokyo, Mt,Tama
     ふるさとは コンクリート・ロード 

 コンクリート・ロードとカントリー・ロード、コンビニと図書館・骨董店という対比を通して現実と理想・憧れの間、受験と小説執筆の間で迷いながら進んでいく主人公の試行錯誤を表現しているのだろう。雫は恋人(聖司)がヴィオリン製造職人を目ざしてイタリヤへ修行に行くという状況の中で自分は何が出来るのかを思い惑う。

 彼が見習で、2ケ月イタリヤに行っている間に、自分のアイデンテティを確かめたいという気持ちをどう表現しようかと悩み続ける。周りに流されない、特有の個性を持つ生き方、自分から主体的に行動する経験を持つことで、自分特有の世界(個性)を持とうとする。「自分には出来っこない」そんなことを考える前に、まず一歩を踏み出してみよう、後は進んで行けばなんとかなる、そんな思いを込め小説執筆に着手しようとする。

 骨董店・地球屋の西老人(恋人のおじいさん)は雫から”バロン(骨董屋の人形)を主人公にした物語を書きたい”と聞くと、雫の物語の最初の読者にしてくれることを条件に出した。雫が渋っていると西老人は石を持ってきて話を始める。

 「職人も同じ、最初から完璧なんか期待してはいけない」「この石にはエメラルドの原石が含まれているが、雫も聖司もその石みたいなもの。まだ磨いていない自然のままの石。そのままでも悪くはないが、物語を書いたりヴァイオリンを作るということは違う。自分のなかに原石を見付け時間をかけて磨くこと」「一番大きな結晶は磨くとつまらないものになってしまう。もっと奥の小さな結晶の方が純度が高い、いや見えないところにあるかもしれない」と。

 雫は話を聞き終わると「自分にこんなきれいな結晶があるかどうか怖くなっちゃった」「でも、書きたいんです。書いたら一番にお見せします」と応えた。 

 すでに見えている才能でも、その才能を発揮する元になっている才能、その凝縮された(身のつまった)優れたものを見付けだし、時間をかけてゆっくり丁寧に磨くことが必要で、決して妥協しない、完璧などありえない、一生かけた才能磨きが重要なのだ。「自分を探すために、これまで怖くて踏み出せなかった部分に飛びこむ、実は怖いと思っていたことでも飛びこんでしまえばなんてことはない。そして目標は大きく見えるが一歩一歩進んで行けば必ず達成される。」ということを語りかけているのだ。

 書き上げた小説を西老人のところに見せに行く。お爺さんは「これはまだ十分磨かれていないが素晴らしい原石がちりばめられている。もっともっと磨かれ輝くものになれる」と励ましてくれた。西老人は、話を語り終えると、以前雫に見せた原石をプレゼントした。「その石はあなたにふさわしい。しっかり、自分の物語を書き上げてください。」と言いながら。

 翌朝早く、聖司は帰ってくる、二人で街の高台に立ち、霧がビルを埋めている地平線から太陽が登るのを見て感動し結婚を約束する。中学生の恋愛物語なのだが。将来の夢とは何かをモチーフにしている。全ての人の心には取り出し磨けば輝やく原石を持っている。本人はそれに気がついていない場合が多い。気が付いたとしてもそれを取り出して磨くという限り無い苦労を自ら引き受けようとしない限りただの石として埋もれてしまうだろう、ということなのだ。

作品解説より: 「若者たちに向けて、また、これから思春期を迎える子供たちを含めかつてそうだった大人たちに向けて「遠くを見つめる眼差しのすがすがしさ」「人を愛するときめき」をてらいなく描き、そして「観るものの心に、夏の日に誰もが持っていたはずの憧れ」をかきたてたい。」(抜粋) (参考資料:『耳すまNET’s』より)

テーマ : 思ったこと・感じたこと
ジャンル : 日記

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