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映画 『トウキョウソナタ』

7月30日(木)
『トウキョウソナタ』この映画は、どこにでもあるような線路沿いの小さなマイホームで暮らす4人家族の物語。サラリーマンの父親、専業主婦のその妻、大学生の長男、6年生の次男の4人が一つ屋根の下で暮している。その何でもない日常生活が次第にほころび始める。淡々と何事もなく流れる日常の中にある心の闇が現れてくる。

n_614zmbj4516ps.jpg 父親: 健康機器メーカー、総務課長として働く佐々木竜平(香川照之)は、人事部に呼び出され、リストラを宣告される。そのことを妻(小泉今日子)、恵に言い出せなかった。翌日から、会社に行くフリをして、毎日ハローワークへ通っていた。昼は野宿者のための炊き出しの列に並び、公園で時間を潰し、いつもと同じ時間に家に帰る生活を続ける。

現代社会の誰にでもいつ起こる分らないリストラ、失業、就職難に遭って右往左往しながらも家庭では権力を維持しようとする主人公の矜持と自己矛盾が家族をばらばらにしていく。

やっと、地元もスーパーの清掃の仕事にありつく。ある日、トイレ掃除をしていた時大金を拾う。それを持って出て来た所、妻の恵とばったり会う。彼は動揺し、仕事場から走り出し、途中交通事故に合い、道端で気絶したまま一晩過ごす。

母親: 妻恵は、普通の主婦だ。何の不満もないような生活をしている。折角作ったドーナツを誰も食べてくれない、ということから家族のあり方に何かを感じ始めていたのかもしれない。ある時、夫が公園の炊き出しの列にいるのを見て彼がリストラされた事に気がつくが、それを夫に言うわけではない。

ある時強盗(役所広司)に入られ、人質として行動を共にして行く時に、ビル清掃の仕事をしている夫とばったり会ってしまう。その後強盗は、彼女を解放するが、一緒に車を運転して海に向かう。何の問題も抱えていなかったような主婦が、突然家出をしてしまうのだ。この行動の中に、恵の心の鬱積が象徴されている。そしてその晩は海辺の小屋で寝入ってしまう。朝目を覚ますと、車と強盗の姿はなく、海に向かって車輪の跡がくっきりと残されていた。

妻、恵の自己表現は難しいだろう。生きることの悲しみと苦しみと喜びが未分化なまま、決して人生を投げている訳でも諦めている訳でもなく、そうではない別の人生をはっきりと感じ取りながらもその方法を模索しているといった感じだ。

長男・貴: 世の中に対して懐疑的な心を持っている。ある日世界平和のためにアメリカの軍隊に入りたいと言い出す。親は反対するがそれを押し切って入隊し、イラクへ出兵する。何ヶ月後、日本に戻った彼は、アメリカに正義などはない、ただの人殺しだ。そういって除隊することを宣言する。

次男・健二: ピアノに特別な才能を持っている。給食費を使い込んでピアノ教室に通う。教師はその才能を見込んで、中学を音楽専門学校に入れることを親に推奨する。しかし父親は頑としてピアノを弾くこと自体を禁止しようとする。もみ合いになって、階段から次男は転落する、大した怪我にはならなかった。ピアノを奪われた感じになり、夜繁華街をさまよっていて補導され、住所氏名を完全黙秘したため一泊留置場に留められる。

次男が留置場から出され家に帰ってみると部屋は散らかったまま誰もいない。しばらくすると母親が帰ってくる。さらに気がついた父親も、お金を何処かのポストに放り込んで清掃員の作業着のまま家に戻る。3人で食事をする。父親の姿にはもはや権威や意地や見栄などはなく家族の一員として食事をする姿があった。

最後は次男の音楽学校入試の自由選択曲の演奏場面となる。両親が参観に来ている。次男はドビュッシーの「月の光」を弾き始める。この曲がこの物語の締めくくりとして紆余曲折あった家族の心の葛藤を清めるように穏やかに演奏されるのである。

ごく普通に生活していたはずなのに、いつのまにか、ばらばらの不協和音しか奏でられなくなった家族が、もう一度一緒にひとつの旋律を奏で、一つの家族としてまとまっていく姿が、「月の光」の調べの中ではっきりと浮かび上がってくる。

映画の解説に次のように書かれていた。「東京に暮らす、ごく普通の家族がたどる崩壊から再生までの道のりを、家族のきずなをテーマに見つめ直した人間ドラマ。『回路』などで知られる黒沢清監督が、累積したうそや疑心暗鬼などにより、ありふれた家庭を壊していくさまを現代社会を映す鏡として描く。日本が直面している社会問題を、独特の緊迫感でサスペンスフルに描く黒沢の演出に注目。」(シネマトゥデイ)

テーマ : 思ったこと・感じたこと
ジャンル : 日記

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