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映画 『休暇』

8月25日(火)
D112787635.jpg 死刑制度についてどういった立場を取るとしても、死刑制度の最大の犠牲者はもちろん死刑囚だが、死刑執行に携わる刑務官も犠牲者として考えざるを得ない。「国家の名による殺人」を実行するのは刑務官であり、仕事とはいえ自ら人を殺すという役割を担わざるを得ない刑務官の苦悩がどのようなものであるのか、この映画は訴えている。

主人公の刑務官の平井(小林薫)は、職場で当たり障りのない付き合いを続け、40歳を越えた今も独身だった。彼は感情を表に出さず、淡々の仕事をこなす。囚人と個人的人間関係を作らず、規則通りのことを日々機械仕掛けの人形のようにこなす。

それは死刑囚との人間関係を作るとその死刑囚が処刑された時に辛い思いをすることを避けるためだったのだろうか。彼の日常は仕事に生きる意味を感じているのではなく、仕事があるからこなすという日々の積み重ねでしかなかった。こういった感情を押し隠し、機械的に仕事を行っていくことを長年続けていく事によって自己の感情表現の仕方を忘れてしまったかのように日常生活においても喜怒哀楽の表情に乏しい。

彼の対極にある刑務官として上司の三島(大杉漣)が描かれている。彼は死刑囚金田(西島秀俊)への対応において規則を曲げても色々面倒を見る。金田は絵を書くのがうまい。スケッチブックに雑誌から切り取った写真を元に絵を描いている。雑誌の切り抜きは所持物の破損として懲罰の対象になる。しかし三島はそれを黙認する。また金田が音楽を聴きたいと言った事に対して、カセットデッキを持ってきて聞かせたりもする。

平井は、ある日、姉の紹介でシングルマザーの美香(大塚寧々)と見合いをする。会ったその場で、二人の結婚は決まったような雰囲気になり、結婚話はとんとん拍子に進む。平井は、この結婚によって今まで無為に過ごしてきた人生を転換出来るのではないかと期待する。

披露宴を週末に控えたある朝、金田の刑が1週間後に執行されることが刑務官全員に言い渡された。処刑の執行補佐(処刑の際、下に落ちて来た体を支える役)をかって出れば、1週間の休暇を与えられると聞いた平井は、苦悩の末、美香を新婚旅行に連れて行きたいがために、「支え役」を自ら志願した。

彼はこの旅行で新たな人生を見出そうと思った。「休暇のために人の命を奪う行為に加担するのか、人の命をどう思っているんだ」と上司の三島は平井にくってかかる。「人の命を奪うことで得られる幸せが果たして本当の幸せなのか」を鋭く問うものである。人の命を奪うということはそれが仕事だと割り切れない重さを持っている。

そして刑は執行され、平井は新妻の美香と彼女の息子とともにささやかな新婚旅行に出るが、彼の脳裏には死刑執行に加担した記憶が、何度も蘇ってくる。払っても払っても悪夢のように襲い掛かってくる。時には吐気をも伴う激しさをもって。自らの幸福の追求と、死刑執行への加担という仕事に伴う心の闇は、1人の人間の中でどのように解決されるのだろうか。そこに答えはない。

テーマ : 思ったこと・感じたこと
ジャンル : 日記

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