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映画 『赦し』 その遥かなる道

10月11日(月)
被害者感情と死刑
死刑制度について考える時、一番の問題は被害者遺族の感情だろう。死刑制度に賛成する人の多くは被害者の報復感情をあげている。 被害者の気持ちを思えば、犯人を極刑にするのは当然だ、という論点だ。しかし犯人を死刑にすることで憎しみは消えるのだろうか、何かが解決できる問題なのか。本当に被害者家族の心はそれによって癒されるのか。

遺族の中には「犯人が死んでも娘は帰ってこない。犯人には一生償いの日を送ってもらいたい。」と応える人もいる。犯人の処刑を望んでいるわけではない被害者遺族もいる。しかしそれはマスコミで放映さない。マスコミは被害者遺族の報復感情をことさら煽り立てそれを前面に押し出して、センセーショナルに「犯人を極刑に」という世論を作り上げる。死刑存置の流れは被害者感情を理由に形成されていく。

『デッドマン・ウォーキング』という映画の中で、死刑執行に家族が立会い執行を見届ける。しかしそれによって何かが変わるものではない。犯人に対する憎しみが消えるわけでもない。加害者の死刑は何も解決しなかった。そこに救いはなかった。映画の最後に、娘を殺された父親が、それまでは加害者の味方として排除されていたシスター・へレンの所に来て、「赦す」という心境に一緒になって向かいたいと言ってきた。救いはそこにしかなかった。

被害者感情と死刑制度は別問題だ
死刑廃止議員連盟の亀井氏は語る。「被害者の報復感情を満足させるという考えは大昔からあります。人間ですから。しかし、報復感情を個人としてもっているということと、国家としてそれを認めるということは別の問題です。私たちは、国家が否応なしに、被害者に代わって報復するということと決別すべきです。

国家は人の命を大事にするのが原点で、殺人をしてはならない。長い間拘置され、もはや社会に危害を与えないものを殺すのは国家による殺人のほかならない。」

映画 『赦し』 その遥かなる道

0ced_convert_20101011180023.jpg被害者遺族が抱える問題を真正面から取り上げた映画がある。韓国の代表的な民間放送局であるSBSが一般劇場公開用として制作し、2008年の秋に上映された。その日本語版をFORUM90が製作し各地で上映運動を行なっている。その映画は死刑廃止を訴える映画ではない。死刑について考える時避けては通れない被害者遺族の救済を扱ったものである。

FORUM90の映画説明には次のように書かれていた。
「 無惨な犯罪の犠牲となった被害者遺族の方々、愛する者を殺された人々の想像を絶する苦痛と喪失感、殺人者と社会に対する憎悪、また反対に、殺した者の許されることのない痛恨。誰しも耐えることができない大きすぎる苦痛に打ちのめされ、それに身悶えし、のたうち回りながらも、それぞれが究極の選択で乗り越えようとする人々。この作品は、死刑という人間の作ったひとつの社会制度に関するものではなく、人間と人間性そのものに関する映画なのです。」

この映画は、殺人者に対する怒り・憎しみと赦しをめぐる実在の被害者遺族への取材の記録である。残虐な殺人犯罪の犠牲者たちの心情がむき出しの形で表現されている。愛する妻と母親と一人息子のすべてを殺され、絶望に悶え苦しむ父親コ・ジョンウォンさんの心の葛藤を中心に進められる。また一人の殺人者のために3人の兄弟を次々と失いひとり残された弟は、消えることのない憎悪を糧に、一日一日を生き延びる。

生きるために赦すことを選択した者と、憎しみを糧に生き延びる者、この対極の2人を対比しながら、映画は進行していく。残された者は、自らが生きるため、殺人犯を赦す道を選択する以外になかった。愛する家族を殺した殺人犯を赦すことにより、悶え苦しむひとりの人間、コ・ジョンウォンさんの凄絶な物語である。

彼の被害者遺族として生きてきた過程は、迷いと苦しみ、死を考えるほどの絶望と消えることのない憎しみ、究極的な人間の強さとその対極の脆弱さが揺れ動きながら、次第に赦しの境地に近付いていくものであった。その過程の中で、我々は彼の崇高な人間性を感じる事が出来るのである。

被害者遺族の本当の意味での救済を

『赦し』の日本語版ナレーションを担当した竹下恵子さんは完成記念試写会で次のようには発言した「愛する者を亡くすというのは、何ものにも代えがたい大変深く大きな哀しみであり、苦しみです。哀しみの中にあってもやはり人は生きなくてはいけない。主人公コ・ジョンウォンさんご自身は生きていくために殺人犯を赦している。誰にでも出来るものではない。

・・・殺人事件の被害者、そして遺族の皆さんの本当の意味の救済がなされない限り、真の解決はないように思います。私は被害者家族の方たちの生活上の問題、それに伴う精神的な救い両方が解決されていかなければ、本当の意味での死刑廃止の意味はないものと思います。」

テーマ : 思ったこと・感じたこと
ジャンル : 日記

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がん治療とは長く細い道を辿ら
なければならない。その先に希
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