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入院18日目(病棟内の規則)


2月20日(日)

 『神曲』の「地獄の門」には「この門をくぐる者は一切の希望を捨てよ」と書いてある。病院の入口にこんな事が書かれていたら笑い話だ。しかし血液内科病棟の入り口の内扉には「白血球1000以上、好中球500以上ない者はここから出る事を禁止する」と書いてあるのではないか。

骨髄異型性症候群で移植をし、寛解後3年以上経っているK氏が面会にきた。患者会の知り合いだ。それぞれの病院での患者会の様子を話しながら、最近入院中に経験した病棟からの外出について看護師の規則ずくめの状態について話したら、K氏はここぞとばかりに話に乗り自分の病院での経験を話した。

彼の入院していたR病院は、感染症対策に熱心で看護師管理もしっかりしている。彼は移植後GVHDもあまり激しくなく、移植病棟から血液内科病棟に移動した。しかしなかなか白血球の数値が上がらず、1000に届かずに長い間過ごす事になった。この病院の患者管理は徹底していて白血球1000以下の患者は病棟からは出られない。体調はかなり回復し元気なのだが病棟を出られない。彼はひょうきんな男で看護師の裏をかいて何度も病棟を抜け出し札付きになってしまった程だ。

彼は食事にうるさく、家族におかずを作ってきてもらったり移植前はよく食堂に通っていた。喫茶店でゆっくり本を読むのも趣味の一つだった。読む本がなくなると図書館に行って本を探し借りてきていた。そいった意味で行く所は限られている。食堂、喫茶店、図書館、売店、面会室位しかない。幾つかの話を紹介しよう。

¶ ある時は図書館まで探しに来て、あなたは病棟から出られない事になっていますと一言、投げつけるように言い立ち去って行った。

¶ 2階の売店で買い物したいと、許可を求めると白血球の数値の見て駄目です。配達してくれますから必要なものを所定の用紙にお書き下さい、と言われた。もちろんその後勝手に買い物に行ったのはいうまでもない。

¶ 40分ばかり食堂にいて病棟に戻って見ると。何時から待っていたのか看護師が病棟の入り口で腕を組んで立っていた。特に何かを言われた訳ではなかったがさすがすごいプレッシャーだった。

¶ 病棟入口を出たすぐ脇に自動販売機があり、薬を飲む水がなくなったので買いに行こうと思ったが、看護師がそれに何と答えるか、買いに行きたいがいいだろうかと聞いた。看護師は「私からはいいといえません。先生に聞かないと。ただ病棟の入口からは、出ては行けないことになっています。変わりに私が買ってきます。」と答えた。それは断って後で自分で買いに行った。

¶ 看護師の管理があまりにも厳しいとむしろ管理不行き届きになるのではないか。面会者と食堂に行ってコーヒーでも飲みながら話したいと思っても、白血球が少ないと駄目と一蹴されるに決まっているから、結局看護師にいわないで勝手に行く外ない。

¶ ある時隣のベッドの患者に田舎から80歳近くの母親を、娘(患者の妹)が連れて面会に来た。色々田舎の話をしていたが、昼になったので、母親が作って持ってきた手料理を食べよう、息子と同じテーブルで一緒に食事をしようと3人前作ってきた。病棟入口近くに面会室が4部屋ある、テーブル2台、椅子12脚置いてある。看護師に面会室に行くというと、患者に対してあなたは白血球が少ないから病棟を出られません。事情を話して理解を求めるが私としてはそういうほかありません。後は担当医に聞いて下さい。そう言って立ち去った。おれが横から口を出したらまとまる話もまとまらない。担当医に電話して見たらいいとアドバイスをしたが母親は、静かに首を振りもういいですと折り詰めの料理を息子に渡し病院を去って行った。規則というのは人を何処までも残酷に出来るものだということを改めて感じたとK氏は最後に語った。

 ミシェル・フーコーの「規律、訓練」・・・法が普遍的であり、また、否定的・消極的であるのに対して、規律・訓練は様々な場で緻密な、しかしそして全面的なそして積極的な、構成的な作用を及ぼす。近代社会についてもっぱらフーコーは契約・法律とは異なるものの重要性を指摘し「規律訓練」と呼ぶもの中で語る。それは監獄、学校、病院、軍隊の中に現れる。

不特定多数の集団社会を管理・支配するには、規則は必要だ。しかし一旦規則が出来上がってしまうとそれを遵守する事が義務付けられ、そこからの逸脱には懲罰が科せられる。組織の構成員はそれに従う外なく自分の判断力の入り込む余地などない。そこでは人間性も豊な情緒も温情も規則の遂行には邪魔な存在でしかない。

『かっこうの巣の上に』の看護婦長が、主人公のあまりにも自由で人間的で奔放な性格に対し日頃から苦い思いしていた。結局患者全員を喜ばせるため酒を持込みどんちゃん騒ぎを行なったが、そのままで泥酔し朝まで寝てしまい見つかってしまった。そして別室に運ばれて行ってしまう。病室に戻って来た主人公はロボトミー手術をされ、廃人化されてしまっていた。

血液内科病棟で働く看護師は、白血球1000以下の患者を病棟から出さないという規則に従う義務を負っている。その規則以外の判断材料を持っていけない。どんなに納得できる理由を聞かされてもロボットのように外出禁止しかいえない。「規律・訓練は様々な場で緻密な、しかしそして全面的なそして積極的な、構成的な作用を及ぼす」というものなのだ。


 病室でインターネットができないどうにかならないかと相談した所、息子がiPadを入院中貸してくれる事になった。これでインターネットの機能は確保できる。WMブログ連の方々のブログにもアクセスでき、コメントにも応答できる。ただパソコンに打ち込んだ文字はiPadに移動できず、iPadの文字配列はあいうえお順、abcd順、キーボード配列-ローマ字入力もあり文字入力はタッチパネル方式だそうで、一定の長さの文章を書くにはキーボードで慣れている者として難しいかもしれない。水曜日には持っていくということだった。

テーマ : 思ったこと・感じたこと
ジャンル : 日記

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貴方がそこの看護師だったらどうしますか?
私なら看護師の責任を全うします。
人権もありますが命を守る職場と思います。
が…実際は難しいのかな

No title

参考になりました、ありがとうございます。

高尾梅郷踏破予定

こんばんは。m{oYo}屮

 6370ですか。
 わたしのIgMは現在5000台前半(推定)。もう,しばらくすると,また,わたしより低くなってしまいますね。
 わたしのIgMは増加がゆっくりのかわりに,低下もゆっくりです。C50mg+P5mg/dayなどという,ゆるい処方なので。姑息療法というのかな。

 pc ipad 接続,pc ipad 転送,あたりでぐぐると,pcとipadの接続方法が出てきますが,よく読んでいないので,一般性があるかどうかはわかりません。

No title

明晰な頭脳に、神が負荷を増やさぬことを祈ります。

院内規則も、総力戦の一環なのでしょうね。
これだけの治療を遂行できる医療施設に
いることとの表裏一体かも知れません。

未だに休眠続行中ですが、折を見て
お伺いしようと思っています。

No title

水曜日までのi-potですか^^。
2月の検査結果 こちらの近況です
WBC=2.8 RBC=369 Igm=3065
CRP=0.3 HGB=11.6 A1c=7.0(驚!)でした。
先月とあまり変化なく プラトーフェイズと言うのですか。
皆 応援してます^^

No title

まりこぶさん、いつも励ましの言葉有難うございます。私が看護師だったらどうする。人が人生で遭遇する幸福な時間はごく限られた瞬間しかありません。他人にとっても同じです。本当に優しい感性はその瞬間を見抜くでしょう。おそらくその母親にとって、滅多に会えない息子とあって一緒に食事をすることがそういう瞬間ではなかったのでしょうか。
当然看護師であればまず患者に対して「白血球が少ないので患者は病棟をでられないことになっています。看護師としてはそうとしか言えないのです」とは言います。その後、私はあなた方を見張っている訳ではないので、あなた方がかってに面会室に行くことを止めることは出来ません。そして最後に小さい声で患者に「行ってらっしゃい」と言い微笑みながら去って行く。
あるいは白血球数値が極端に少なくないのであれば、担当医に連絡し、時間制限であっても面会室使用許可をもらう。
いずれにしても本当に優しい感性は何らかの道を見いだして行くでしょう。何たって白衣の天使たちなのですから。
K氏の様な人にはどんな対応をしても本人にはなんのダメージを与えないから大丈夫です。問題は弱く、従順で自己主張出来ないそういった人たちをいかにフォローするかだと思います。

No title

百軒さん、メールでの様々な提案や紹介拝見させてもらっています。また一緒に活動できるのを楽しみにしています。
的確な指摘有難うございます。確かに首都圏の大病院への入院は空きベッド待ちでなかな入れません。今入院している病院でも患者受け入れ数が相部屋だと18人しかはれません。入れただけでも大変なことです。
また中小病院では感染予防の管理体制を強化しようにも金も人もないのが現状なのでしょう。管理体制が強いということはむしろ本来必要なことなのです。
大病院にある様々な患者用設備は中小病院にはないところが多いのでしょう。行きたきても行くところがないから病室にいる他ない。
つまり観点を変えると、大病院に入れその設備を利用できる、ということはその管理体制も受け止めざるを得ないということなのでしょう。

No title

Motogenさん、こんにちは。いつもコメント有難うございます。igmの進行が遅いということは何よりも助かります。曽我梅林にってきましたね。そっちの方のコメントは、Motogenさんの方のブログのコメントで書きます。

No title

rieeさん、お久し振りです。Igmが安定してよかったですね。iPadは水曜まででなく水曜から借りることになっていましたが、昨日の夜持ってきてもらったので今日朝からコメントを書いています。このままIgmが安定し、休薬することが出来れば一安心でしょう。






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Author:yosimine
がん治療とは長く細い道を辿ら
なければならない。その先に希
望があると信じながら。

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